見るからに英語らしくない綴りですが、これはラテン語です。英語として使われている法律用語にはこの手のラテン語そのまんまの成句がけっこうあります。しかも、それがわりとよく使われるのですが、どれもコンセプチュアルな意味で一言では訳せない意味をもっています。だから英語でもラテン語がそのまま使われているのだと思います。

ここ数週間ニュースで見かけたquid pro quoはヒラリーのスキャンダルです。ヒラリーには国務長官時代に公務メールに私用サーバを使っていたという予備選挙のころから引きずっている問題があります。その問題が発覚したころに、問題のEメールの機密扱いのランクを下げようと国務省がFBIに交換条件をもちかけて取引(quid pro quo)しようとしていた、というのが大雑把な内容です。

quid pro quoは、英和辞典には「対価」とか「見返り」とかありますが、Wikipediaによれば、ラテン語から英語の直訳は「something for something」または「this for that」。法的には「何らかの価値やサービスを、それに見合うものと交換すること」で、一方的でないこと、交換が対等であることが司法上の論点になるそうで、良い意味にも使われます。必ずしも違法な取引を意味するわけではありません。

で、このヒラリーのスキャンダルですが、まだ真偽は明らかではないにしても本選挙直前のスキャンダルとしては相当まずいもののはずです。それにも関わらず、あっという間に埋もれてしまいました。それは、ほぼ同時に進行していたトランプの女性蔑視、セクハラ問題のほうがずっとわかりやすくて面白かったからです。ヒラリーのスキャンダルは世間にアピールするには難しすぎたのです。わかりやすさとエンターテイメント性でここまできたトランプですが、スキャンダルに関してはそのしっぺ返しを受けているわけです。

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