カタカナで書くとオバタリアン(古いっ!)の親戚のようで、なんだか愛嬌がありますが、現在のアメリカでの位置づけも、ある意味愛嬌があると言えば言えなくもない存在です。

二大政党の大統領候補がいずれも不人気であることから、今回の大統領選挙は第三党の躍進が目立っています。特にトランプ、ヒラリーの不人気にあやかって支持者をグンと増やしたと言われるのがLibertarian Party(リバタリアン党)です。

libertarian とは libertarianismを主張する人のことです。スペルを見れば明らかなようにlibertyと同じ語源をもつ言葉です。究極の小さい政府を目指し、あらゆる規制、税金、年金や保険を含む福祉制度に反対で、完全に自由な資本主義を是とするのがlibertarianismで、かなり無政府主義に近い思想です。Wikipediaによると、日本語ではリベラリズムと区別するために自由至上主義とか完全自由主義とか訳されるそうです。

アメリカのリバタリアンは、2010年の中間選挙で登場した共和党保守派の新勢力、ティーパーティとセットで注目されたので、共和党系の保守派の一派とみなされることも多いのですが、実は究極のリベラルでもあります。規制廃止や減税といった小さな政府志向ではティーパーティと主張がかぶっていますが、ティーパーティがキリスト教保守派のモラルが大前提なのに対して、中絶もマリワナも個人の自由というのがリバタリアンです。党大会には、なんだかわけのわからないアーティストやら、不思議なコスプレの人やらがいて、とてもとても保守派には見えません(libertarian party conventionでグーグルの画像検索をするとわかります)。

そこで、この保守でも革新でもなく、保守とも革新ともかぶる部分のあるリバタリアン党の大統領候補、ゲイリー・ジョンソンが、トランプもヒラリーも嫌、という有権者の間で支持を伸ばしてきたわけです。といっても、現時点で支持率7%ですから、現実的にゲイリー・ジョンソンが大統領になる可能性はありません。しかし、選挙の勝敗を大きく左右する無党派層の中では大きな割合を占めていて、それがトランプとヒラリーのどちらの票を食うのかという点で、大統領選の結果に大きな影響があるとみられています。

ゲイリー・ジョンソンは2012年の大統領選挙でもリバタリアン党の候補だったのですが、その時は誰にも注目されない存在でした。今回の選挙で第三党として一躍脚光を浴びたわけですが、そうなるとボロも出てきます。まず9月初めの「What is Aleppo?」事件。テレビ番組のインタビューで「大統領になったらアレッポのような事態にどう対処するか?」ときかれて「アレッポって何?」と答えて、インタビュアーを唖然とさせたのです。そして、今週は「世界中の国の現存のリーダーの中で好きな人を挙げてください」という質問に答えられず(名前を思い出せず)、これがまた「Aleppo moment」として繰り返し放映されることになりました。今年の大統領選挙ではリバタリアン党のこれ以上の躍進はないものと思われます。 

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