英単語からアメリカがわかる

在米ライター黒田基子の使える時事ネタ英単語

月別: 9月 2016

Stop and frisk(ストップ・アンド・フリスク)

ノースカロライナ州シャーロットでは、警官が別件捜査中に無関係な黒人を射殺したことに抗議するデモが暴動にまで発展し、大変なことになっています。警察の黒人に対する差別的な対応が大きな問題になる中、再び議論の的になっているのが stop and frisk です。

警官が道行く人を止めて (stop)、身体をさぐって武器やドラッグなどを所持していないかをチェックする (frisk) ことをいいます。犯罪を未然に防ぐためということで取り入れられたシステムですが、この対象となるのが黒人やラティーノが圧倒的に多いということから人種差別プロファイリングだとして、人権侵害かどうかということが裁判で争われてきました。実際に犯罪防止に役立っているのか、それとも人種差別であるばかりか犯罪多発地域の住民の警察への反感をあおるだけなのか、というのが論点です。

ストップ・アンド・フリスクは、stop-and-frisk とハイフンでつなげられることもあり、1セットで多くの意味をもつ言葉です。Stop は、そのままの意味ですが、日本人にわかりにくいのは frisk です。ウェブの英和辞典にはまず、「はねまわること、じゃれること」が第一にあげられていますが、実は英語として使われるのは、もっぱら「警官などが身体をさわってボディチェックすること」です。念のためアメリカ人数人に確認したところ、動詞frisk を「はねる」とか「じゃれる」という意味で使うことはまずない、聞いたことがない、絶対使わない、誰も使わない、などの全面否定回答が返ってきました。英語の辞書には一応「Skip or leap playfully」という定義ものっていて、テクニカリーには間違いというわけではないそうですが。

Frisk の意味が誤解されやすいのは形容詞の frisky がよく知られているからだと思います。そういえばフリスキーというペットフードの大手ブランドもあります。Frisky はまさに子どもや犬がはねたり、じゃれたりする様子やエネルギッシュな様子に使われる形容詞です。ちなみに frisky は「Sexually playful or excited」という意味でも使われます。これを日本語に訳すと「性的に興奮する」「さかる」など、なんだかどぎつい印象になりますが、英語では、まさに playful な、もっと軽い感じの表現です。

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birther(バーサー)

問題発言の数々で地すべり的に支持を落としていたトランプが、またジリジリと支持率を上げ、接戦状態となっている大統領選挙。良くも悪くもメディアの注目を集めることにかけては誰にも負けないトランプのおかげで、最近のアメリカのニュースは、すっかり「今日のトランプ」と化しています。

そのトランプの最新の話題が「birther」。オックスフォードのウェブ辞書によると「A person who doubts the legitimacy of Barack Obama‘s presidency because of a conspiracy theory that Obama is not a natural-born US citizen.」(オバマ大統領が米国生まれではないという陰謀理論によってバラク・オバマの大統領としての正当性を疑う人)。つまりトランプのような人のことです。というか5年前にトランプがオバマの出生証明書は偽物だと言い出したときに、メディアで作られた造語です。今ではすっかり定着して、「birther theory」、「birther ism」などの使われ方もします。「birther」といえば、「トランプがでっち上げたオバマの出生疑惑」というふうに一言で理解できるわけです。当時からまともに取り合う人はほとんどいませんでしたが、トランプに賛同する保守派も一部にはいるので「birthers」と複数になる場合もあります。

米国の法律では大統領は生まれながらにしてアメリカ人 (natural-born-citizen) であることが条件 (その解釈には諸説ある) なので、アメリカ生まれかどうかということが問題になるわけです。もちろんオバマはアメリカ生まれのアメリカ人です。それを5年前から狂信的にオバマ外国出生説を唱え続けてきたトランプが、ここにきて急に「オバマはアメリカ生まれである」と言い出したのです。が、謝罪するわけではなく「最初に birther を始めたのはヒラリーで、オレは最後の仕上げをしただけ」と、お前は5歳児かっ!といいたくなるような責任転嫁。もちろん大嘘です。こういう誰がきいても大嘘だとわかることをしゃあしゃあというところがトランプです。メディアも忘れかけていたような「でっち上げ理論」を、わざわざ蒸し返したことで、今またトランプはメディアの注目を独占しています。

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